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HABURI
柔軟化、潜在的な危険性
本シリーズは、銃、チェーン、手錠、三つのオブジェを構成している。単色の毛糸を用い、国家権力や暴力にまつわる様々な道具、武器などをかぎ針編みで編んだもの。時間をかけ少しづつ編まれた作品は、無骨でいびつな形をしているが、同時に柔らかく可変的でもある。
チェーンについて
チェーンというモチーフは異なる文化や地域で豊かな歴史と多層的な意味を持つシンボルであり、禁錮や束縛を象徴するだけでなく、解放や自由を暗示するものでもある。ヒップホップ文化やサブカルチャー、性文化などにも登場する。毛糸の温かい触感と、鎖が持つ冷たさの象徴との対比が、対人関係や文化的プレッシャー、個人のアイデンティティにおける見えない束縛を暗喩している。
手錠ついて
手錠というモチーフは現代文化と社会における通常犯罪を抑制する象徴であり、秩序を維持するための道具とされている。しかし、特定の国の制度下では、手錠の意味は警察と犯罪者の二元関係を超え、単なる違法行為を制御するためのものではなく、異議や批判、思想表現を抑圧する象徴手段としても使用され、インテリや意見リーダー、アーティスト、作家などが反対意見を表明することにより拘束され、反対の声を封じ、批判的な思想を抑制する目的で用いられる。
銃について
中国と日本は、ともに銃規制が非常に厳格な国であり、特に日本では銃撃事件の発生は極めて稀である。しかし、2022年に安倍氏の銃撃事件や近年の襲撃事件は、長期的に構築された社会の安全性に対する課題を再考させるものとなる。この安全性の崩壊が、私たちの日常生活にどのような影響を与えるのか?本当の危険と潜在的な危険の関係は何か?
プロフィール
HABURI(ハブリ)
1992年中華人⺠共和国·内モンゴル自治区生まれ。幼少期を「ひとりっ子政策」下で育ち、内モンゴルでソビエトのリアリズム芸術に影響された美術教育を受けた。 2016年に日本に移住、留学生として東京に4年間滞在し、2020年東京藝術大学美術研究科油 画科修士課程修了。現在は、京都を拠点に活動する。2024年インドネシアに滞在することで、自身の政治的アイデンティティを再認識し、現在は工芸や手仕事の実践を通じて、アジアから形成された問題という視点で制作に取り組む。
habur.i
Website: https://www.haburi.net/
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